店と客の関係

かれこれ5年くらい通う服屋がある。

ちょっと強気なお姉さんがやってるメンズのセレクトショップだ。

 

お姉さん、仮にここではYさんとしよう。

Yさんは常連客を堂々と仕事に使う。

マナーのなってない客は追い出すらしい(幸い実際に目にしたことはない)。

店のブログにはちょっときつめの注意文も書いてあって、

正直最初は怖い店だなと思っていた。

 

だが店の不思議な引力で僕はいつの間にか常連客になっていた。

少ない給料を握りしめよく買いに行ったものだ。

今持っている服はここで買ったものばかりになっていた。

 

面白いものでいい店というのは、店と客が対等ということだ。

互いに媚びがない。

実際僕も買ってやってるという意識はなくて、

いい服を仕入れてくれてありがとうという感じだ。

値切りも一切行ったことはない。

(最も僕自身値切りは失礼な行為だと思っていてどんな店でもやっていないけど。)

 

いいモノを扱う店は強い。

不躾な客を黙らせる何かがある。

フリーランスとマルチ商法はよく似てる、と思った話

暇なのでブログを読み漁って退屈な時間を凌いでいる。

その中でよく目にするのが「フリーランス」という言葉である。

今回はフリーランスについて思ったことを書く。

 

第一印象は「かっこいい」

色眼鏡をかけずに見れば第一印象は「かっこいい」だった。

組織に頼らずその身を立てる。

実にかっこいいじゃないか。

 

だが僕とて社会に身置いた経験のあるいい年した大人である。

表面的な自由など虚像であり、

その実会社員よりずっと「生か死か」の世界の生き物だとすぐに分かった。

 

そりゃあそうだ。

誰も自分を保障してくれない。

社会的信用もゼロなのだから。

(厳密に言えばゼロから始まる。実績を積み重ねて信用を作ればいい。)

 

 

あれ? フリーランスってマルチ商法に似てるな

僕はかの有名なア○ウェイの勧誘を受けたことがある。

集会にも顔を出したことがあるし、チームミーティングなんかにも参加した。

恥を忍んで書くが「片足をつっこんだ」ことがある。

 

マルチ商法も表面的には、誰にも縛られない自由な生き方として眼前に迫ってくる。

理不尽さを味わい始めた若い会社員などはコロっといく。

僕も学生時代の友人から「現状に不満はないか」というお決まりの口説き文句を以て、

かの集会に連れて行かれた。

 

集会には学生風の男女、うだつの上がらないおっさん、その辺の主婦、

サブカル系若者などがちょっと家賃の高そうなマンションの一室に集まっていた。

30代にして巨額の富を得たイケメンが、壇上で異様な雰囲気を漂わせていた。

 

異様なイケメンは言う。

「夢があるなら今行動しよう」と。

会場は熱気に包まれる。

 

のぼせあがっていた僕はすっかり虜になり、

集会の帰路を友人と盛り上がっていた。

その後は数か月ほど彼らのお仲間と行動を共にするのだが、これはまたの機会に書く。

 

本題に戻る。

フリーランス教(あえて~教と書く)とマルチ教は共通点がある。

一部のカリスマに人が集まり仲間を増やしていく点だ。

そして当然ながら成功するのもそのごく一部という点も同じである。

所詮弱肉強食である。

 

当のフリーランス教、マルチ教の人間はここが抜け落ちている。

実力もないのに食っていけるはずがない。

 

 

会社には弱者の席もある

僕は自分を弱者だと思う。

特別な技術はないし、バリバリ売る営業力もない。

喋りたがりの人間の相手をするのはちょっと得意だけど、だたそれだけだ。

 

弱者な僕は楽して生きたいから会社員という道を選ぶ。

多少の理不尽さは弱者である代償として甘んじなければならない。

幸い会社というものは弱者にも一応席があるものだ。

そしてそれなりに仕事をこなせば一定の達成感を得ることもできる。

たまに同僚とメシや酒に興じるのも悪くない。

 

とはいえ今はまだ無職。

さっさと自分の席を取りに行かなければならない。

工場で働いたときのこと

僕は工場で働いたことがある。

そんなに長い期間ではなかったが、憂鬱な日々だった。

 

明るいのに暗い

僕の働いた工場は、繊細な素材を作っていたのでクリーンルームだった。

室温は24度前後に調節され、作業員は目元だけ出たスーツを着ていた。

 

作業室は蛍光灯で明るいはずなのにとても暗く感じた。

今まで客商売をやっていた僕としては密閉された空間はとても窮屈だった。

 

同じ空間には変わらない面子の同僚・上司だけ。

機械を相手によく分からない操作を行う。

機械の一部になった気分だった。

 

 

起き上がれない休日

勤め始めてから休日はずっとベッドで横になっていた。

何かしようという気力が沸かない。

たまに友人とメシに行ったり、気晴らしに近場の山へ行ったりしたけど、

ほぼ9割は家で過ごしていたと思う。

体の疲れは取れているはずなのに眠気は取れないままだった。

 

 

「向いていない」仕事とは

結局工場の仕事は数か月で辞めた。

給料は良かったが精神がもたなかった。

残念ながら自分の経歴に傷を付けることになってしまった。

 

どうやら工場の仕事は僕に向いていないらしい。

前の仕事は不満さえあれ、ここまでつらいと感じることはなかった。

一つ一つの作業は着実に覚えてこなしてはいたが、

これが自分の「生業」という感覚を持てなかったのが大きいかもしれない。

 

 

というわけで無職

働き始めてから二度目の無職生活を送っている。

前辞めた時も仕事は決まってなかった。

短期間で辞めているのも含め、相応のマイナスポイントと言える。

なんだかんだで働き口はあるだろうが、どんな選択肢があるか不安である。

 

今回は転職エージェントを使ってみることにする。

よく分からないことはプロに任せるのがまだマシというものだろう。